だから池月 第21号

池月バンザイ

 その土地土地で育まれてきた日本酒の味を大切に守っている地元・石川県の地酒に魅せられ、中でも「池月」の味にほれ込み、蔵元や特約店の人柄にも納している得していると話す奥田道夫さん(70才)にいろいろ聞いてみた。

15年前の出会い

「池月 純米酒」

 今から15年前、金沢大学勤務時の同僚と柿木畠「いたる」に飲みに行った際、何気なく飲んだ「池月 純米酒」がとてもおいしくて印象深かったのを覚えています。金沢市出身ですが、大学卒業度に文部省(現文部省)に勤務し、国立大学での管理職として全国を転々とするいわば転勤族で、ゆっくりと”かなざわにふれる”ことはなかったように思います。

地域活動の日々邁進

ほたるの里実現へ

 その後、現文部科省を定年で辞めたあと、4年ほど第2の人生として東京で勤務し、丁度5年前、病に伏したのを機に金沢に帰郷しました。帰郷後は、地元の文化事業に役立てればと念西寺(金沢市泉)で老若男女問わずの俳句教室を開いたり、町会のお世話をしつつ、旧北國街道を考える会やほたる保存会など、地域活動に日々忙しくさせていただいてます。

 ほたる保存会では「町の中にほたるの里をつくる」を合言葉に、地域の方々のご協力のもと来年を

目途に金沢市と計画案を構築できるまでこぎ着けています。

搾ったままの大吟

手造りにただ感激

 3年前、能登鉄道の地酒列車に初参加し能登・加賀のお酒を満喫しました。「能登のお酒は甘口だけれども口当たりのいい、いい酒が多かった。」と地酒の良さに魅せられました。それから一昨年に、東さん(酒あずま店主、金沢市円光寺)の声掛けで、鳥屋酒造さんの蔵見学に参加しました。蔵内では、全てにおいてほぼ手作業による酒造りを拝見し、華やかな香り漂うなか流れるような人の動きや活気に感激しました。また、当日は大吟醸の初しぼりの日で、ふねから搾られたばかりのお酒を試飲させていただいたのですが、「こんなに旨い日本酒は飲んだことがなく、日本酒の素晴らしさを体感できたことが嬉しかった」と、今でも昨日のことのように覚えています。

冷やした純米酒

酒粕を酒の肴に

 「池月」は、柿木畠「いたる」でいただいた純米酒が忘れられず、もっぱら純米酒を好んで飲ませていただいています。飲みかたとしては、好みのグラス(6酌)にキリっと冷やした純米酒が口にあっているようです。お燗酒は手間がかかるので…、無精者ですね。酒粕があれば七輪で焼いて酒の肴にする時もあります。

酒は地域の味覚

個性はうまみに

 日本酒は本来、その土地で獲れた魚に合わせて造られているので”まずい”ものは一つもありません。この原点ともいえる”味”を地域で伝え理解し合えることが大切だと思います。石川県は、この想いのある地酒が多いように感じます。”個性はうまみ”として、石川県の地酒の発展を祈っています。

インタビュアー

 谷澤 雅視

川井杜氏のコラム⑦

 皆さんこんにちは。最近、気温も上がり、だいぶ過ごしやすくなってきましたね。 

 コラム再開第一回目は…お待たせいたしました。みんな大好き(?)「酵母」のお話しです。お酒に詳しいお客様は、一番興味のあるモノではないでしょうか?ですが、みなさんに酒造りにおける「酵母」を、より深くご理解いただける様に回を分けて、なるべくわかりやすくご説明します。ここから長くなりますがご理解を…

 さて、お近くのスーパーやコンビニで販売されている商品を見回してみてください。パン、ヨーグルト、ビール、ワイン、日本酒、焼酎、さらには各種サプリメントや栄養ドリンク、醤油や味噌、はたまた漬物と納豆にいたるまで置いてありますよね?実はこれらの食品すべて、「微生物」による「発酵」が関わっています。

 「酵母」はその「微生物」の一種であり、原材料からエチルアルコールを生成します。そう、これが「発酵」の中の一つ、「アルコール発酵」です。世界中のほとんどの「お酒」はこの「アルコール発酵」を利用して造られます。日本酒もそうです。「焼酎」などの「蒸留酒」も例外ではありません。まず原材料を「酵母」による「アルコール発酵」させた「発酵液」を造り、それを蒸留機で「蒸留」して出来上がります。

 話が脱線しますが、この「発酵」と「腐敗」はどう違うのでしょうか?実は、「発酵」と「腐敗」は起きていることは同じなのです。細菌の活動によって、人間の食生活に有益なモノがつくり出される場合、それを「発酵」と呼び、一方で、それが有毒物質を生み出したりして食用に適さないモノになる場合を「腐敗」と呼ぶのです。

 つまり、「麹菌」も「青カビ菌」も同じ「かび」の仲間で、細菌の活動で食品に作用しますが、「麹菌」は「麹」を造る際に全く毒素は出さず、逆に人間にとって有益なものを生成し、もちろん食用できるので「発酵」になり、「青カビ菌」は人間の体に有害な毒素を生成し、食用できないので「腐敗」となります。

 「アルコール発酵」で生成させる「アルコール」は「飲めない体質の人間には毒だ!」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、まぁ…それはさておき…(笑)

 わあ!もう紙面が…次回は「酵母」について詳細な説明をしたいと思います。