だから池月第6号

鳥屋のニューフェイス

 今回は今年2月に鳥屋酒造さんへ入社されました敞田さん。伸栄館さんへ配達に来られた時にお話を聞きました。いつもおしゃれで爽やかな感じです。


敞田 高治氏   鳥屋酒造社員

◎入社の動機

 20数年勤めていた運送業を辞めて、今年2月に鳥屋酒造に入社した敞田さん。昨年、長年連れ添ってきた奥様に先立たれ、家事と仕事の両立を余儀なくされた。仕事一筋だった敞田さんにとって生活は一変する。「できるだけ子供のそばにいたい」と地元での就職を探していた。趣味は、車と洋服、そしてお酒が大好きで「北陸のお酒をいろいろ飲んでいました」といい、特に地元の「池月」を愛飲していたという。「これ以上、子供には寂しい思いはさせられない」との思いと、大好きな「池月」で仕事ができたらとの思いから鳥屋酒造の門を叩く。何度も通ううちに、川合社長さん、田中専務さんの人柄にも惹かれていく。「川合社長さんは一見、一概者(いちがいもの)に見えますが、本当は心温かい優しい方で、仕事以外の相談にも親身になってくれました。この方のもとで働きたい」と強く熱願し入社する。

 当初は酒造りを希望していたが「現在は、造りの期間も(3~4か月)も短く生活の保障もできないから、と言って通年雇用の営業として受け入れてくれました」と川合社長の心遣い感謝する。将来的には、造りの仕事にも携わっていきたいという。

 ※一概者とは石川の方言で頑固な人という意味で使われます。

■主な仕事は配送です

 現在は、金沢、加賀、小松方面の特約店を回り池月を届けている。「酒屋さんから『ご苦労様』『ありがとう』など声をかけていただき、池月を待ってくださってることが嬉しく、つい長居することもしばしば」笑顔が印象的だ。また、酒屋さんの池月に対する思いの強さを実感する毎日で励みをもらっているという。

■鳥屋酒造に来てよかった

 「お客様や酒屋さんあっての当社です。お客さんから『うまい』『ありがとう』のお声を頂いたり、酒屋さんは一目でわかるように陳列してくれたり、情報誌を作って伝えてくださったり、皆さんのお蔭さまで安心して酒造りに取り組めているのが池月の魅力だと言えます」と、味だけではない魅力を伝えたいという。

■毎日が勉強

 最後に「皆さんに役立てるよう日々勉強し、常に『ありがとう』が交わし続けられるよう頑張っていきたいと思います」と、今日も車を走らせている。

私と池月

地魚・地酒「くろ屋」 石黒 隆 氏

石川県金沢市本町2丁目6-24  2005年創業


■さりげない味わい

 「池月」を一言でいえば”素材でさりげない味わい”。私の好きな銘柄の一つです。うちでは、まず柔らかさを持った池月のお酒で舌を和ませてから、順を追って味わいの違うお酒を楽しんでいただくような提供の仕方をしています。池月は「まず一杯」として重宝しています。

 また逆に、すでにたくさんのお酒を飲まれている方に池月をお出しすることもあります。池月は飲み飽きせず3杯目、4杯目でもスイスイ入っていくような”飲める酒”だと思います。さりげない米の旨みが料理を引き立ててくれるようで好評です。

■池月でのイチオシは

 池月の中でもすっきり系タイプでお客様の反応もいい純米吟醸「一青」が人気です。500ml.のデザインボトルしかないので、出来れば一升瓶検討してほしいです。

 より多くの方にお勧めするにはグラス売りが最も効果的ですし、特に若い方や女性にもどんどん進めたいと考えています。

■蔵元さんへ一言

 池月は、どれを飲んでもそれと分かるほど芯の通った味筋で安心しているのですが、だからこそばりえーっしょんを利かせた池月も飲んでみたいです。毎年、蔵元にお邪魔して池月のしっかりした造りを見て思うのですが、きっといい酒ができるる蔵元さんだと自負しています。どんな料理も邪魔をしない池月は本物の酒だと思います。

 余談ですが、数年前から「金沢駅前もてなし会」(24店加入)を発足し、地域活性に一役できればと話し合っています。金沢は、食・酒文化が長けていますし、季節ごとの移ろいを楽しめる駅前を創造して、街づくりの一端に協力しています。年間を通じて、お客様と楽しめる界隈づくりが夢です。

日本酒豆知識⑥

 お酒は、お米と酵母と麹を用いて造られます。その間、さまざまな工程を経て出来上がります。その工程の中で「火入れ」という作業をどこでするかで、お酒の名前が変わります。

 火入れとは、それまでお酒の中で生きている酵母の破壊や雑菌処理などの目的で行われる加熱処理のことで、簡単に言いますと、お酒をけを60度程度まで温めます。

 通常のお酒は、瓶に詰めるまでに2回の火入れが行われます。これは、安定した製品づくりのための作業になります。ほか、2回の火入れを簡略化したものや瓶に詰めた後に行う「瓶燗」という手法もあります。火入れごとの特徴は次の通りです。

 「通常のお酒」・・・搾った後、一度火入れをして貯蓄、貯蔵したお酒を製品にする前にもう一度火入れをし、計2回行います。

 「生貯蔵酒」・・・搾った後、生の状態で貯蔵し、製品にする前に一度だけ火入れをしたお酒を言います。生酒の風味を残したお酒。「本醸造生貯」など

 「生詰酒」・・・搾った後に一度火入れをし、貯蔵。製品前の火入れをせずに瓶詰したお酒を言います。池月では「ひやおろし」です。

 「生酒」・・・火入れを一切行わない、とてもデリケートなお酒ですので冷蔵保存は必須。「うすにごり」「みなもあらばしり」