だから池月第4号

池月流の酒造り

自然体で醸される酒造りの現場

 特別なことは出来ませんが、謙遜しながら仰る川合社長は、基本に忠実に飾らない酒を醸してきました。雪の降る凍てつく蔵の中で、今期もじっくりと酒を仕上げます。自分を飾ることも売り込むことも苦手な、能登の一角にある小さな酒蔵の、今回は酒造りをご紹介いたします。

■受け継がれてきた伝統の技

 ●酒造りは早期から行われます。まず精米された米の表面についている糠を洗い落とし(洗米)目的の水分量(30%前後)になるように吸水(浸漬)させその後水切りします。

 ●蒸気で米を蒸します。鳥屋酒造は昔ながらの和釜を使った甑(こしき)で蒸米を「外硬内軟」に仕上げます。経験がものを言います。

 ●蒸した米を目的(麹づくりや仕込み用)の温度まで冷やします。

 ●出来上がった麹と水と蒸米と酒母をタンクに混ぜて仕込みます。杜氏の長年の経験と技で、タンク内での醪の発酵具合(約30日前後)を見極め搾る時期を決めます。

 ●発酵が終わるとお酒を搾ります。鳥屋酒造では全量を槽(ふね)で搾ります。酒袋を積んで圧力をかける前に出てくるお酒はあらばしりと言います。香りが華やかでフレッシュ感のある味わいが特徴です。

 

私と池月

割烹 秀月   水口 秀治 氏

富山県氷見市幸町9-78   1980年創業


◇池月との出会い◇

 6年前、前取引先の酒店が廃業されて、表酒販さんより勧められました。

◇池月でのイチオシ◇

 店名が秀月なので「月」並びで、「みなもにうかぶ月」をお客様におすすめしてます。私自身は池月の普通酒の、夏は日向燗、冬は人肌燗が好きです。

◇池月に合う料理◇

 秀月の料理は、土産土法(土地の産物を土地の調味料でその土地の食べ方でいただく)です。池月は能登をはじめ北陸の産物がよく合います。鰤、カニ、ホタルイカ、白エビ、大根、かぶら、里芋等、食材の旨みを活かすことを信条としています。

 そしてそこに真情という真心を加えることが私流です。

 池月は料理を邪魔せず、主役も脇役も演じる千両役者。ですから池月を扱う私たちは、料理の加減を見て、冷やしすぎの酒や熱燗は提供できません。

◇今後の池月に期待すること◇

 そろそろ日本酒の時代がやってきます。目覚めた日本人が、世界の米ワイン愛好家が新幹線や飛行機で北陸にやってきます。新しい夜明けがもうすぐきます。

 池月は今のままで、そして何も足さず、削ぎ落して、「みなも」を呑むと、料理が変わるたび味が変わる、不思議な酒。そんな酒であってほしいと思います。手造り料理に手造り酒。これからもいい物語を共演したいと思います。


みなもにうかぶ月 ふな掛けあらばしり

 お酒を搾る時、酒袋に醪(もろみ)を詰めて槽(ふね)という容器で搾る方法を、船乗りに例えて「ふなのり」または「ふな掛け」といいます。

 池月のお酒はすべてこの昔ながらの槽で搾ります。醪の自然の重みで最初に流れ出る液体を「あらばしり」といい、旨みの多いお酒になると言われます。このあらばしりを無濾過で瓶詰した生まれたての吟醸酒です。

「うすにごり」を呑まれたお客様からの声

 ★毎年、楽しみにしています、今年もおいしかったです。

 ★うちではお正月には、必ずこのお酒を飲みます。

 ★初めて買いました、父親にも好評でした。

 ★お世話になった方へ、1年のお礼を込めて贈りました。

 ★ほんのりとした甘さが心地いいです。

 ★テレビを見ながら、こたつに入りながら飲みました。

 ★去年よりもすっきりしていました。

 ★スイスイ行けたので、飲みすぎました。

 ★友人から薦められました、甘くておいしい

 ★うすにごりは、池月の中でも一番好きな部類です。 たくさんのコメントありがとうございました。

日本酒豆知識④

 今春3月末から放送が開始されるNHK連続テレビ小説「まれ」は、能登半島の輪島市と神奈川県・横浜を舞台とした現代劇。輪島市役所に就職したヒロイン「希(まれ)」が子供のころからの夢「パティシエ」(洋菓子職人)を志し横浜で修行、その後能登に戻り洋菓子店を開くという物語です(輪島市と横浜市鶴見区は友好交流協定で締結)。また、北陸・金沢は「北陸新幹線」の開通というビッグイベントを控えており、朝ドラの放映とともに今年最も注目される街になります。

 この北陸といえば、山海の美味をはじめ和・洋菓子など豊かな食文化が堪能できるところ。もちろん、日本酒も数多くの銘酒を排出する酒どころです。能登杜氏が醸す”能登流”の技と伝統を背景に、時流をとらえながらも個性豊かでハイレベルな特定名称酒が楽しめます。中でも、家業の蔵元には「山椒は小粒でもピリリと辛い」の言葉通りに、隠れた逸品がたくさんあります。伝えようー、北陸銘酒を地元民に。そして、この地を愛する全国の人たちへ。

 今少しだけ、その奥ゆかしさはポケットに仕舞い込み、大いに故郷自慢をしましょうよ。